Contents
仙川駅から旧甲州街道を千歳烏山方面へ歩いていくと、給田1丁目に背の高い松林と広い芝生が見えてきます。ここは約70年にわたって第一生命のグラウンドとして使われてきた場所で、現在は「世田谷キューズガーデン(SETAGAYA Qs-GARDEN)」と「給田松の香公園」として地域に開かれています。
「キューズガーデンって結局何があるの?」「松の香公園は子ども連れで楽しめる?」「この開発で周辺の仙川マンションの価値は変わるの?」――仙川で暮らしていると、こうした質問をいただくことが増えました。この記事では、仙川在住の不動産エージェントである私が、世田谷キューズガーデンと給田松の香公園の成り立ち、施設の中身、そして仙川エリアのマンションにとっての意味を、2026年10月時点の情報で整理します。
第一生命相娯園グラウンドから世田谷キューズガーデンへ
この土地は、1954年に開園した「第一生命相娯園グラウンド」を中心とする第一生命の福利厚生施設でした。都内ではなかなか見られない規模の緑が、70年近く守られてきた場所です。
大きな転機は2019年12月です。第一生命保険・丸紅都市開発・相互住宅・NTT都市開発・野村不動産の5社がまちづくり構想を発表し、約9haの敷地を「多世代が健康的に暮らし続けられるまち」として再整備することになりました。そして2023年3月25日、世田谷キューズガーデンとしてまちびらきを迎えています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1954年 | 第一生命相娯園グラウンド開園 |
| 2018年12月 | 第一生命が世田谷区へグラウンド開発計画を相談 |
| 2019年12月 | 5社によるまちづくり構想を発表 |
| 2021年 | 区立給田松の香公園が開園 |
| 2023年3月25日 | 世田谷キューズガーデンまちびらき |
開発と聞くと「緑がなくなるのでは」と心配される方も多いのですが、キューズガーデンは既存の緑やグラウンドを残しながら、住宅・スポーツ・コミュニティ施設を組み合わせた計画になっている点が特徴です。
世田谷キューズガーデンの施設構成
キューズガーデンは「住む」「動く」「集う」の3つの要素で構成されています。主な施設は以下のとおりです。
住宅(多世代集合住宅)
- グランスイート世田谷仙川:ファミリー向け分譲マンション(丸紅都市開発・相互住宅)。2023年3月竣工、地上4階建・72戸
- ウエリスアイビー世田谷仙川:学生向けレジデンス(NTT都市開発)
- オウカス世田谷仙川:健康増進型の賃貸シニアレジデンス(野村不動産)
ファミリー・学生・シニアが同じエリアに暮らす「多世代」の構成は、仙川周辺ではあまり例がありません。
スポーツ施設
- 第一生命相娯園グラウンド・テニスコート
- J&Sフィールド:旧野球場部分(約9,000㎡)を多目的グラウンドとして改修し、日本女子体育大学と世田谷区が利用
- ランニングコース:敷地内を周遊する1周約1kmのコース。第一生命グループ女子陸上競技部が監修
世田谷区の資料によると、区内の地域別に見て、烏山地域には区民向けの野球場・グラウンドがありませんでした。J&Sフィールドはその空白を埋める施設としても位置づけられています。
コミュニティ施設
- Qs ANOTHER HOUSE(光風亭):1937年竣工の「馬場氏烏山別邸」を再生。東京中央郵便局を設計した建築家・吉田鉄郎の作品で、DOCOMOMO Japanにも選定されています。レンタルスペースやキッチン付きワークルームを併設
- 蒼梧記念館:第一生命創業者・矢野恒太の旧自邸(1927年竣工)を1986年に田園調布から移築したもの。茶室やグランドピアノ付きのレンタルスペースがあります
- 芝生広場:まちの中心にある広場。イベント会場にも使われます
- クリニックモール
- 貸し菜園:農業体験ができる区画
昭和初期の歴史的建築が2棟も残っている点は、街の「格」を語るうえで見逃せないポイントだと私は感じています。
給田松の香公園の魅力と正直な注意点
給田松の香公園は、キューズガーデンの一角に2021年に開園した世田谷区立公園です。所在地は世田谷区給田1-3-20、面積は約3,790㎡。名前のとおり、既存の松林を活かして整備されたのが最大の特徴です。
魅力
- 背の高い松が並ぶ景観は、仙川周辺の公園の中でも独特の雰囲気があります
- 地面にウッドチップが敷かれた箇所があり、歩くとやわらかく、散歩や犬の散歩に向いています
- トイレ・水飲み場・ベンチ・健康遊具があり、隣接するキューズガーデンの芝生広場と合わせて使えます
正直にお伝えしたい点
- 大型の複合遊具はありません。小学生がボール遊びや遊具でたっぷり遊びたい場合は、近くの給田公園など別の公園と使い分けるのが現実的です
- 仙川駅からは徒歩約10分。駅前から気軽に立ち寄る距離ではなく、給田・若葉町エリアに住む方の「日常の公園」という性格が強いです
4人の子どもを育てている立場から言うと、遊具で遊ぶ公園というより「芝生と松林で、のんびり過ごす場所」として考えると満足度が高いと思います。仙川の子育て環境全体については仙川の住みやすさ徹底解説【2026年版】でまとめています。
仙川エリアのマンションにとっての意味
ここからは不動産エージェントとしての視点です。
「緑が残ることが確定した」ことの価値
大規模な企業グラウンドは、売却されれば戸建てやマンションで埋め尽くされる可能性もありました。キューズガーデンでは、区立公園・グラウンド・芝生広場として緑が地域に開放される形で整備されたため、周辺の住環境が今後も保たれる見通しが立ちやすくなりました。
給田・若葉町側には、ブリリア仙川ザ・レジデンス(世田谷区給田3丁目)やパークスクエア武蔵野(調布市若葉町2丁目)といった仙川駅徒歩圏のマンションがあります。こうしたマンションを売却する際、「近くに公園・ランニングコース・グラウンドがある」という点は、子育て世帯や健康志向の買主に具体的に伝えられるアピール材料になります。
相場はどう見ればいいか
民間ポータルの集計では、2026年4月時点の仙川駅の中古マンション売出相場は㎡単価96万円(坪単価約317万円)とされています。ただし、これは駅全体の平均の売出価格であり、成約価格や個々のマンションの価値とは異なります。開発の効果だけで価格が上がると断定はできず、金利動向・築年数・管理状態などを合わせて判断する必要があります。仙川全体の価格推移は仙川マンション相場推移【2026年版】をご覧ください。
グランスイート世田谷仙川は「定期借地権」
キューズガーデン内のグランスイート世田谷仙川は、定期借地権(約70年)のマンションです。定期借地権は期間満了時に土地を返還する前提のため、同じエリアの所有権マンションとは価格の付き方や売却時の買主層が異なります。
「キューズガーデンの新築が◯◯万円だったから、うちの所有権マンションも同じくらい」という比較は単純にはできません。権利形態の違いを踏まえて比較することが大切です。
まとめ:仙川の「将来性」を語るうえで外せない場所
世田谷キューズガーデンと給田松の香公園は、派手な商業施設ではありませんが、約70年守られてきた緑を地域に開いたという点で、仙川・給田エリアの住環境にとって大きな意味を持つ開発です。
- 住む・動く・集うがそろった約9haの多世代のまち
- 松林を活かした落ち着いた区立公園
- 周辺マンションにとっては「緑が残る環境」を伝えられる材料
仙川周辺のその他の開発動向は仙川の再開発と将来性【2026年版】で解説しています。給田・若葉町エリアのマンション売却を検討されている方は、まず現在の相場を知るところから始めてみてください。
本記事の施設情報は2026年10月時点で公開されている事業者・世田谷区の資料をもとにしています。施設の利用方法や営業時間は変更される場合があるため、最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。
FAQ
よくある質問
世田谷区給田1丁目、京王線仙川駅から徒歩約10分、千歳烏山駅から徒歩約15分の場所にあります。第一生命相娯園グラウンドの跡地を中心とした約9haのエリアです。
2019年12月にまちづくり構想が発表され、2023年3月25日にまちびらきを迎えました。
2021年に開園した世田谷区立公園で、面積は約3,790㎡です。大きな遊具はなく、既存の松林を活かした散策向きの公園です。
ファミリー向け分譲マンション「グランスイート世田谷仙川」(2023年3月竣工・72戸)です。土地は定期借地権(約70年)のため、所有権マンションとは資産性の考え方が異なります。
緑地や公園が恒久的に地域へ開放されたことは住環境の評価を高める要素ですが、価格は金利や築年数など多くの要因で決まるため、開発単独で値上がりすると断定はできません。個別の査定で確認するのが確実です。
Related