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「この査定価格は、どうやって出しているんですか」。仙川でマンション売却のご相談をいただくとき、私が必ず時間をかけて説明するのがこの点です。査定書の根拠になるのは過去の成約事例ですが、あなたの住まいが実際にいくらで売れるかを決めるのは、今まさに同じ市場に並んでいる競合物件です。買主は必ず複数を見比べ、検討に検討を重ねて決断します。その比較表の中で自分の住まいが何番目に置かれるかを知らないまま売り出すと、価格も見せ方も後手に回ります。この記事では、売却において競合物件の把握がなぜ決定的なのか、そして新着・成約・価格変更という3つの動きをどう日々追うのかを、2026年の最新データとともに整理します。
買主は「比較」で決める。だから競合物件が価格を決める
私が購入のお手伝いをしていて毎回実感するのは、住まい探しにショートカットはないということです。週末ごとに内見を重ね、ポータルサイトで何十件も見比べ、家族で話し合い、また見比べる。人生で最大級の買い物ですから、当然のことだと思います。
売主の側から見れば、これは自分の住まいが常に「他の選択肢と並べられた状態」で評価されていることを意味します。買主が最後に比べるのは、過去に売れた部屋ではありません。同じ週末に内見できる部屋です。同じ駅徒歩圏、同じ3LDK、同じ価格帯という枠の中で自分の住戸が何番目に魅力的か。それが問い合わせ数を決め、内見数を決め、最終的な成約価格を決めます。
競合物件とは「同じ駅・同じ価格帯・同じ広さで、いま売りに出ている住戸」のことです。査定の根拠となる過去の成約事例とは、役割がまったく違います。
2026年の市場は「在庫が増えて成約が減る」局面にある
競合の把握が年々重要になっているのは、私の感覚だけの話ではありません。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2026年9月度の月例速報では、首都圏の中古マンション市場は次のような状況です。
| 指標 | 2026年9月(首都圏中古マンション) | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 成約件数 | 3,457件 | 22.7%減(6か月連続減) |
| 在庫件数 | 50,450件 | 15.1%増(7か月連続増) |
| 成約価格 | 5,111万円 | 4.5%減 |
| 成約坪単価 | 267.5万円 | 4.8%減 |
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch」2026年9月度
在庫が7か月連続で増え、成約が6か月連続で減っている。これは買主から見れば選択肢が増え、売主から見れば比較される相手が増えたということです。さらに東京都の数字を見ると、2026年9月の成約価格が6,728万円(前年比3.3%減)だったのに対し、売出価格は8,999万円(同11.3%増)。その差は2,271万円で、8月の2,129万円からさらに広がっています(ダイヤモンド不動産研究所による東京都の中古マンション価格推移分析、2026年9月分)。
売主の希望価格と買主が実際に払う価格のギャップが開いている局面では、「周りがこの値段で出しているから」という理由だけで価格を決めると、売れずに残る側に回りやすくなります。出ている値段ではなく、決まった値段を見る必要があります。
査定書は「成約事例」、信頼を得るのは「競合物件」
私は査定書を作るとき、まず過去の成約事例を確認します。これは価格の根拠を客観的に示すための作業で、どの会社でも基本は同じです。ただ、成約事例だけを並べた査定書は、売主から見れば「過去の説明」で終わってしまいます。
売主に本当に納得していただけるのは、今まさに売りに出ている競合物件を一戸ずつ挙げて、「この住戸は御宅より3階高くて価格は同じ」「この住戸は駅から2分遠いが150万円安い」と具体的に比較したときです。買主はまさにその比較をしているわけですから、売主と私が同じ比較表を見ている状態をつくることが、戦略の出発点になります。
成約事例は「過去にいくらで決まったか」。競合物件は「これから誰と競うか」。両方を揃えて初めて、価格設定が意思決定になります。
価格設定の考え方全体については、仙川でマンションを高く売る完全ガイド【2026年版】でも流れに沿って解説しています。
毎日追うべき3つの動き:新着・成約・価格変更
競合の把握とは、売り出し前に一度調べて終わりではありません。私が日々チェックしているのは、次の3つの動きです。
新着物件
自分の物件と同じ検討層に刺さる住戸が、新しく市場に出たかどうか。特に同じマンション内で、同じ間取りの部屋が売り出されたときは影響が直撃します。新着が出た週は、買主の視線がそちらに移るため、内見数が落ちることがあります。
成約(掲載終了)
最も重要な動きです。掲載が消えた住戸は、いくらで、何日で、どんな条件で決まったのか。これが「今この市場で実際に通用する価格」の答え合わせになります。成約が続いているなら市場は動いており、残り続けているなら価格が合っていません。
価格変更
競合が価格を下げたら、自分の住戸の相対的な順位が自動的に下がります。逆に言えば、競合が下げた理由を読み解けば、自分が下げるべきかどうかも判断できます。反響が取れずに下げたのか、売却期限が迫って下げたのか、相場そのものが動いたのか。理由によって取るべき対応は変わります。
専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、売主への業務報告が宅地建物取引業法で義務づけられています。その報告の中身が「反響0件でした」で終わっているなら、競合の動きを聞いてみてください。契約形態ごとの違いは専任媒介・専属専任媒介・一般媒介の違いと選び方【2026年版】にまとめています。
「なぜ売れて、なぜ残ったのか」を一つずつ紐解く
私が大事にしているのは、3つの動きを記録するだけで終わらせないことです。なぜこの物件は価格を下げたのか。なぜ同じ築年・同じ駅距離で、片方は2か月で決まり、もう片方は半年残っているのか。それを一件ずつ紐解いていく作業が、結局いちばん売却の精度を上げます。
差がつく要因は、たいてい価格だけではありません。階数と向き、バルコニーからの眺望、水回りのリフォーム歴、管理状態や修繕積立金の水準、掲載写真の点数と明るさ、内見の受け入れやすさ。同じマンションでも、この積み重ねで数百万円の差が生まれます。管理の読み解き方はマンション管理の見方【2026年版】で詳しく書きました。
比較に比較を重ね、検討に検討を重ねて買主が決断する以上、売る側もそれに見合うだけの比較を積まなければ釣り合いません。ここを省略した売却は、最後に価格を下げることで帳尻を合わせることになります。
仙川の競合は「層」で分かれている
仙川に住み、この街のマンションを見続けていて思うのは、競合関係がきれいに層で分かれているということです。
- 駅直近層:シティハウス仙川ステーションコート(徒歩2分・2012年・91戸)、ブリリア仙川(徒歩3分・2014年・約70戸)
- 徒歩7〜9分の築浅層:プラウドシティ仙川(2015年・275戸)、ブリリア仙川 ザ・レジデンス(2015年・43戸)
- 築年が進んだ大規模層:パークスクエア武蔵野(徒歩8分・2000年・210戸)
戸数の多い大規模マンションは、同時期に複数の住戸が売りに出る可能性が高く、まず同じ建物内の部屋が最大の競合になります。一方で数十戸規模のマンションは館内で競合が出にくい反面、比較対象が近隣マンションや千歳烏山・つつじヶ丘まで広がります。つまり「どこまでを競合と見るか」の設定自体が、マンションによって変わります。各マンションの位置づけは仙川の人気マンション徹底比較【2026年版】、エリア全体の価格推移は仙川マンション相場推移【2026年版】をご覧ください。
売主が自分でできる競合チェックの手順
担当エージェントに任せきりにせず、売主自身でも確認できることがあります。私はむしろ、一緒に同じ画面を見ていただくほうが話が早いと感じています。
- ポータルサイトで条件を固定して保存する。「仙川駅 徒歩10分以内/60〜80㎡/3LDK」のように自分の住戸と近い条件で絞り、新着通知を受け取る
- 気になる競合を一覧にして、価格・階数・向き・専有面積・築年・掲載開始日を記録する
- 毎週、価格変更と掲載終了をチェックする。掲載が消えた住戸は成約の可能性が高い
- レインズ・マーケット・インフォメーション(全国指定流通機構連絡協議会運営)で、実際の成約価格を確認する。会員登録や費用は不要で、地域・駅距離・面積・築年数などの条件で検索できる
- 担当者に「今週の競合の動き」を具体的に聞く
ポータルサイトに出ている価格は売出価格であって、成約価格ではありません。前述のとおり東京都では売出価格と成約価格に2,000万円超の開きが出ています(2026年9月)。売出価格だけを基準にすると、相場を高く見積もりすぎることになります。
まとめ:比較にショートカットはない
買主は、比較に比較を重ねて決断します。だからこそ売主の側も、競合物件を日々追い、新着・成約・価格変更の一つひとつについて「なぜそうなったのか」を考え続けることでしか、売却の精度は上がりません。在庫が増え成約が減っている2026年の市場では、その差がそのまま結果に出ます。
私は仙川に住み、この街のマンションの動きを毎日見ています。査定価格の数字そのものよりも、その数字がどの競合と比べて出てきたのかを一緒に確認したいという方は、気軽にご相談ください。売り出す前に競合の一覧を作るだけでも、見えてくるものが変わります。
※本記事の市場データは2026年9月時点の公表値です。税務や法務の個別判断については、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。
FAQ
よくある質問
同じ駅・同じ価格帯・同じ広さで、いま売りに出ていて、買主が自分の住戸と並べて比較する住戸のことです。査定の根拠になる過去の成約事例とは別物で、成約事例が「過去」、競合物件が「現在」の情報です。
売り出し中は毎日が理想で、少なくとも週1回は確認してください。見るべきは新着物件・成約(掲載終了)・価格変更の3つの動きです。
内見数と競合の動きの両方で判断します。問い合わせが2〜3週間止まり、その間に同条件の競合が成約しているなら、価格か見せ方のどちらかが比較で負けているサインです。
できます。全国指定流通機構連絡協議会が運営するレインズ・マーケット・インフォメーションでは、会員登録や費用なしで中古マンションの成約価格を地域・駅距離・面積・築年数などの条件で検索できます。
2026年9月の首都圏中古マンションは在庫が前年同月比15.1%増、成約件数が22.7%減(東日本レインズ月例速報)という局面です。売れないのではなく、価格設定と競合把握の精度が結果を分ける市場になったと捉えるのが実態に近いです。
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